「戸崎さん、お疲れさまでーす!!」
グラスがからんといい音を立てた。
そして、俺の喉をビールが伝う。
何だか知らないが、今日は俺のお疲れ様の会らしい。
疲れ……
確かにたまっている。
慢性疲労が俺の身体をちくちくと蝕んでいる。
「お疲れ様って優弥のスタジオの件?」
後輩に聞くと、後輩は満面の笑みを浮かべる。
「いや、それもですが……
まずは夏フェス、お疲れ様です!」
「やっぱかっこいいな、戸崎さん!!」
俺は思わずビールを吹き出しそうになった。
「な……何だ、そんなことか」
そう言う俺は、もちろん照れ隠し。
本当はすごく嬉しい。
はるばる遠方まで、俺のライブを見にきてくれたなんて。
「もう、仕方ないなぁ。
今日は俺のおごりだよ」
俺はそう言ってメニューを開いた。