優弥が帰ったあと、疲れ切った俺は机に伏せていた。
いつも飲んでいたいちごミルクがコーヒーになり、コーヒーが栄養ドリンクになる。
目を閉じたら眠ってしまいそう。
俺はこんなギリギリの生活を、大学時代から続けていた。
「戸崎、遠藤さんの件ご苦労様」
不意に前田課長の声が聞こえ、慌てて姿勢を正した。
「ありがとうございます!
前田課長のご指導のおかげです」
そう言う俺を、前田課長は心配そうに見た。
「戸崎。疲れているな」
「いえ!日常ですから!」
「戸崎。
もし仕事が君の活動に支障になっているなら……」
その言葉を聞いて、俺はさらに背筋を伸ばした。
それだけはあってはならない。
Fの活動は、仕事をしてでも出来る範囲しかしない。
そういう取り決めだ。
俺だけじゃない。
みんなそれぞれ苦労しているから。
賢一はフランス料理店のオーナーだし、慎吾は税理士。
優弥だって芸能関係の仕事をしているが、他のグループのプロデュースに忙しそう。
俺だけ甘えるわけにはいかない。
いや、俺だけF一筋になったとしても、きっと弱い自分に嫌気がさすだけだ。