「あのふざけたライブにいた、キングのリーダー。
あいつも来てたんだけど、やたら俺を避けて。
俺が挨拶しても、そそくさと逃げやがった」
ぎくっ。
俺はすごい顔をしたのだろう。
優弥はそういう所を見逃さない。
「やっぱりてめぇ、何かしでかしたのか!」
「いや……俺は……」
そう言いながらもカズのことを考えていた。
カズはあの時、どんな気持ちで俺を見ていたのだろう。
夏フェスでもきっと会うんだろうな。
俺はどんな顔をしてカズに会えばいいのだろうか。
「落ち込んでるんじゃねぇよ。
自分で蒔いた種だろうが。
誰もふとももフェチなんて腐ったマネ、したくねぇよ」
「なに……優弥だってノリノリだったじゃん」
「ノリノリ?ふざけんな」
優弥はそう言って俺を睨む。
「ふとももフェチの存在がおおやけにバレたら、許さねぇからな!」
いや、そこじゃないよ。
ふとももフェチがバレても、今さらみんな何も言わないよ。
……いや、中山のようなファンは怒るだろうけど。
ただ、俺が気になっているのはカズだ。
自信家で、熱意に満ちて、そしてまっすぐなカズを、俺は裏切った。