そんなことは思わなかったけど。
ただただ楽しくて、いつものように夢中になっただけだ。
「これからも、よきライバルとしてよろしくな、ザキ」
「う……うん……」
俺は差し出された手を握り返す。
嬉しいよ。
こうやって、俺たちのことを嫌いだった人から認められて。
だけど……
ちょっと本気でやりすぎたのかな。
完全な遊びだったのに。
だって、
「ゆうちゃんさん!
当ライブハウスのレギュラーになりませんか!?」
ライブハウスの支配人が目を輝かせて優弥の手を握っている。
優弥は気まずそうな顔をして、
「すみません。……足りています」
という。