ー蒼sideー
優弥はしかめっ面のまま、俺の案を持って去っていった。
優弥は思うような反応をしてくれなかった。
でも、それでこそ優弥だ。
簡単に納得するとは思っていなかった。
俄然やる気が出るよ。
「戸崎。どうだった?」
前田課長が心配そうな顔で俺に聞く。
「手強いです、彼は」
俺はそう言って、再び図面を見た。
Fの練習でもそうだ。
優弥は無理に無理をさせる。
だけど……
何とか達成出来た時、それは誰にもマネ出来ないほどすごいんだ。
「でも、大丈夫です。
必ず彼をうんと言わせますから。
だから課長も……ご指導お願いします」
俺は課長に頭を下げていた。
俺の力はまだまだ未熟だ。
だから、たくさんの助けがいるかもしれない。
意地を張って、それを拒否したりはしない。
知識を吸収して、さらに上を目指す。
それが俺のためにもなるし、優弥のためにもなる。