そんな妙なテンションの中、蒼が笑顔で紙を渡す。
俺はそれを受け取り、気付いたらそれに見入っていた。
蒼の作った設計図。
それは、蒼の努力の結晶だった。
三つの大まかなプラン。
丁寧に作図され、分かりやすいようにコメントまで書いてある。
コンセントの位置、証明、建物の形までこだわり抜いていて。
そこには全く違う三つの建物が作ってあった。
立体図、室内イメージ、風通しや防音効果までも詳しく計算がしてあって。
その仕事の丁寧さに舌を巻いてしまう。
こいつは、Fのライブがあったのに。
他の客だっているのに。
こんなにも俺一人のために時間を割いたのか。
……いや、俺のためだけじゃねぇ。
Fにも、他の客にも、きっと蒼は時間を割いている。
蒼が納得するまで諦めねぇんだ。