「お待ちしておりました、遠藤様。
階段で来られるとは、心外でございます」
「ふざけるな、てめぇ」
優弥はそう言って、すたすたと歩きだす。
まずい、このままじゃ、みんなの目に触れてしまう!!
「え……遠藤様、ダッシュですよ?」
「はぁ?」
「遠藤様は有名だから、社員にバレると面倒でございます!!」
「……」
「てか、遠藤様の存在自体、面倒でございます」
「戸崎!」
不意に聞こえてその声に、俺は飛び上がった。
俺の前に北野さんがいて。困ったように笑っていて。
「戸崎の声がうるさすぎ」
そう言ってフロアを指差す。
すると、みんなが失笑してこっちを見ていて。
俺の計画が完全に狂ったことを悟った。