「戸崎さん、今にお前に愛想尽きるぞ」




その言葉に、




「えっ!?」




大声を出す中山。

そして、続いて吐き出されたその言葉に、俺は驚いていた。




「俺、戸崎さんのこと尊敬しすぎて、接し方が分からないです!

すごい憧れで……

親睦会の時も心臓止まりそうで……

だから、戸崎さんに突っかかってしまうのです!!」




なんだ、中山、可愛いところあるじゃん。

俺は一人で笑っていた。




「戸崎さん、明日ライブなのに今日もいつも通りで。

頑張ってくださいとか応援したいのに、恥ずかしくて言えない」



「言えばいいじゃん」



「駄目ですよ!

……言ってしまったら、泣いてしまいます。

俺は突っかかることで、戸崎さんの気を引くことしか出来ないんです!」





中山の馬鹿。

素直に言いなよ。

中山が碧を好きでいてくれたことは知っているし、俺も嬉しい。




俺は自動販売機でコーヒーを買う。

そして、それを中山の机の上に置いておく。



ー明日、楽しみにしてるからー



そうメッセージを残したピックとともに。








「戸崎、ようやく帰るのか」



「はい。

久しぶりに早く帰って、寝ます」




そう言って窓の外を見る。

辺りはすっかり夕焼けに染まっていて。

明日が近いことを物語っていた。





大丈夫。

俺なら出来る。

必ず成功させる!