後輩たちは、彼を見て息を飲んだ。
中山は真っ赤な顔をしたまま、口元をふさぐ。
「賢一、何でここにいるの?」
俺は彼に聞いていた。
珍しくスーツを着ている賢一。
その黒い髪も、大人しくセットされている。
「今日は試食会があってな」
賢一はそう言って面白そうに笑う。
「ちょうど蒼の会社の名前を見つけたから来た。
……今日だろ?肉の日」
「うん!」
俺はそう言って、艶スタイルのまま賢一に歩み寄る。
わざと優弥みたいにがに股で歩いて。
「相変わらずひでぇな、お前」
「そっくりでしょ?」
そう言って、俺は後輩たちを指差す。
中山はいつもの中山だ。
だけど、酙役の後輩は、モサモサのカツラを被っていて。
そして、玄役の後輩はガタイのいい身体に、なぜか鉢巻きを巻いていた。
「やべぇな」
賢一は楽しそうに笑う。