深夜のレストランに、彼は急に現れた。
いつものように、派手で趣味の悪い服装をして。
そして、その顔は勝ち誇ったようにニヤニヤ笑っていた。
「やるなら盛大に、だろ?」
優弥はそう言った。
わけが分からない。
「ファンクラブ。
今はもう停止しているけど、会員に特別にメールを送った。
ライブをするってこと」
「えぇ!?」
そうなんだ……
優弥、影でそんなことしてしまったんだ。
だけど……
ライブのことを知っていた先輩や中山、前田課長……
ファンクラブに入っていたってことなのかな?
何だかますます会社での俺の立ち位置が微妙になるよ。
「てめぇら、久しぶりにスタジオに来ねぇか?」
優弥が口元に笑いを浮かべて言う。
「Zeppは満員だからな。
俺たちも本気でいかねぇと!」
「ちぇっ。結局これかぁ」
だけど嬉しいよ。
久しぶりに、こうやって四人で集まれて。
それに、優弥がいないと始まらないから。
厳しい指導者がいないと、Fは完成しない。
俺たちは胸の高鳴りと戦いながら、優弥のスタジオへと向かっていた。