……が……
「ヤバかったよな、戸崎さんの結婚式」
休憩所から何やら嫌な会話が聞こえてきた。
「ややややっぱり戸崎さん、碧だったんですね……」
「どーする、中山?
中山、今まで戸崎さんのことからかいすぎでしょ!」
「どどどどーしましょ……」
「戸崎さん、怒ってサインくれないよ?」
これは……
聞かなかったことにしよう。
それにしても中山の奴、今まで散々俺を馬鹿にして、何だよそれ。
俺が碧だと知って、泣いてたじゃん。
俺は足早にその場を去ろうとした時、後輩たちは衝撃的な言葉を吐いた。
「あーあ……今年の親睦会も、戸崎さんにアシスト頼もうとしたのにな」
「アシスト?今年は何すんだよ?」
親睦会……。
それは、俺の働く会社全体の親睦会。
毎年夏に開かれて、部署ごとに一芸を披露宴する。
断れない俺は去年まで、進んで一芸を披露してきた。
AKBに、嵐に、そしてTODAYまで。
TODAYのダンスは意外に難しくて、隆太に馬鹿にされながら練習した。
そんな親睦会に、今年も出るなんて。
ギターと歌の練習に、ダンスの練習。
俺……倒れそう。
だが、その次に聞こえた言葉に、本当に倒れそうになった。