「とにかく!
来月ライブするからな!」
優弥の訳の分からない言葉に、
「……はぁ?」
ただただ驚く俺たち。
だって、事実上活動休止の俺たちには事務所ももう期待していないし、ライブの準備も、お金も出してくれないだろう。
それに……
ファンだっていないかもしれない。
大学を卒業してからもう数年。
この数年間はほとんど活動なんてしていない。
だから、俺たちは完全に忘れられた存在だ。
その証拠に、街で声もかけられなくなった。
「誰も、マジのライブするなんて言ってねぇよ」
優弥は笑いながら新しい煙草に火を点けた。
賢一もそれを真似て煙草に火を点ける。
「ライブハウスで。
楽しいライブをしよう」
「優弥、どうしちゃったの!?」
思わず叫んでいた。
目の前の優弥は、あの鬼の優弥と同一人物だとは思えない。
いや……昔から優弥はこんな人だったかもしれない。
「お前ら、仕事のストレス溜まってるだろ?
ライブで発散しろよ」
昔から、メンバーのことを大切にしてくれる。