だけど……
遠藤先輩はしぶとかった。
なぜか引退したはずの部活に現れ、人一倍練習をした。
そして、早朝からランニングをしていた。
夜は近くのジムに行き……
悲惨なダイエットをしているという噂を聞いた。
「マジかよ、あいつ……」
賢一が困ったように言う。
「正直、遠藤先輩が入ると調子狂うよね」
慎吾もそれに同調し、俺も頷いていた。
遠藤先輩が入る、イコール、馬鹿が出来ない。
遊びみたいなライブも出来ないし、おっさんの歌を歌うことも出来ない。
それは、俺たちにとって死活問題だった。
そして、その恐怖がとうとう現実となった。