「戸崎。
一つ聞いていいか?」
「はい?」
俺は北野さんを見る。
北野さんは何か言いにくそうに口ごもり、顔を紅くする。
そんな彼を見て、嫌な予感がした。
俺、また仕事でとんでもないミスをしでかしたのかもしれない。
だが、
「明日の披露宴、誰が来るのか?」
それは意外な問いだった。
「え?誰って……
僕と妻の親族と、友達と……」
そんなことを聞いて、どうするのだろうか。
仕事のミスじゃなく、ホッとした。
だけど、何だかもやもやした。
北野さんはさらに紅くなって下を向く。
「あの……友達って……
Fもいるのか?
艶と、酙と、玄も」
その言葉に、
「えぇぇぇぇ!?」
俺は大声を出して後ずさりしていた。
席を蹴飛ばして。
ヤバイ。
訳が分からないけど、心臓がバクバク言う。
何か聞いてはいけないものを聞いてしまった気がした。