今までのFとは少し違っていた。
だけど、Fらしさは大いにあった。
そして、あのお父さんが、こんな映画みたいな映像を作り出したことに戸惑いを隠せない。
Fのためにお父さんが作った、渾身の映像だった。
それは、何だか前向きになれるMVだった。
自分らしく生きようという気持ちになれる。
「細かい修正は必要だがな」
優弥さんは画面を見ながら満足そうに言った。
何となくMVを見て思った。
MVの中の碧はかっこよく爽やかで。
微妙な光の加減、そして合成されたCGがさらにそれを引き立たせていた。
蒼を認めようとしなかったお父さん。
だけど、内心は蒼を認めてくれているのかな。
だって……
今回の碧は、今までのどの作品よりもかっこよくて、そして蒼らしい。