だが、
「君は、聞いたところによると遊び人だね?」
その言葉に、
「え?」
思わず聞き返していた。
唯ちゃんのお父さんは、少しイライラしたように顔を歪める。
そして、こう告げた。
「君は問題発言をしているらしいね。
ギターみたいに女を鳴かすとか、
女を狂わすのが得意だとか」
「え……」
思いがけないその言葉で、顔に血が上る。
ぼうっと熱くなる。
俺……
確かにそんなことを言ったことはある。
いや、ライブやラジオで結構頻繁に言った。
でもそれは、もちろんでまかせ。
ただの計算。
碧だったらこう言うだろうな、と思ってやっていた。
でも、やっぱり本気で受け取られるよね。
……当然だよね。
何も言えない俺。
言葉を吐けば吐くほど言い訳がましく思えてきて。
「すみません。
でも、唯ちゃんのことは本気です!!」
俺はただ、頭を下げていた。
きっと彼は、こんな惨めな俺を、怒りと憎しみのこもった目で睨んでいる。
そして、俺は唯ちゃんから引き離される。
そんな恐怖が押し寄せてきた。
嫌だよ、唯ちゃん。
離れたくない。