「君に礼など言われたくない」




彼は静かに呟く。




「君には分からないと思うが、唯はこんな私なりに一生懸命唯を育ててきた。

そんな唯が君みたいな男と……」






唯ちゃんのお父さんの気持ちが分からないことはない。

だけど、まだ未熟な俺には完全に理解出来ないだろう。




俺は何も言えず、下を向いた。

どんな困難があっても、唯ちゃんの横を離れるわけにはいかない。

俺の全てを認めてくれて……俺を変えてくれた大切な人。

Fや碧の存在が大好きな今の俺がいるのは、唯ちゃんのおかげだ。

そして……

そんな唯ちゃんを失うと、きっと俺は立ち直れない。




分かってるよ。

俺は弱い人間だ。

もうきっと、唯ちゃん無しでは生きられない。

だから、俺のためにも……

唯ちゃんを手放すわけにはいかないよ。