「Fのベーシスト 酙と松原多恵が熱愛、かぁ」
蒼がニヤニヤして週刊誌を読んでいた。
「Fが撮影現場に乱入。
そして、松原多恵に猛アピール」
「Fという括りにされたくねぇな」
笑う蒼と賢一の横で、ニヤニヤしている慎吾。
完全にトリップしているようだ。
そんなメンバーをまとめるのが、リーダーの役目。
「てめぇら!!いい加減にしやがれ!!」
優弥さんの声はマイクで拡声され、鼓膜をつんざく爆音となった。
蒼と賢一は耳を塞ぎ、慎吾ははっと我に返る。
「てめぇら!
レコーディングが遅れてるぞ!!
これじゃ、清三さんに迷惑かけるぞ!」
「はい!!」
蒼は慌てて立ち上がり、ギターを持ち上げる。
そして、無心に練習を始める。
そんな蒼を見て、賢一は困ったように首を振った。