そんな時……
「あれ?蒼?……みんな」
聞き覚えのある声が聞こえる。
明るい太陽みたいで華のあるこの声……
「ね……ねーちゃん……」
思わず身を引いた蒼の身体に、紅さんの強烈な蹴りが入った。
身を屈める蒼の横で、モデル立ちをする紅さん。
その姿は雪山でも綺麗だ。
シンプルなウェアだが、所々センスの良さが目立つ。
さすが蒼のお姉さんだ。
「あ、唯ちゃん。
元気にしてる?
蒼が迷惑かけてない?」
あたしを見て顔を輝かせ、話しかけてくれる紅さん。
何だか嬉しくなって、言葉を返そうとした時……
「紅さん。
どうっすか?俺と……」
あたしと紅さんの間に割り込む優弥さん。
その、白い紅さんの手を握る。
だけど……
「優弥ちゃん。
あんた、まだまだよ。
あたしの彼氏になりたいなら、もっといい男になりなさい」
笑顔で毒を放つ紅さん。
ぷっ、と蒼が吹き出し、紅さんは蒼を踏みつけていた。