次の日……
「唯ちゃん、これからも蒼をよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
あたしは、蒼の両親に頭を下げた。
嬉しかった。
蒼はかっこいいし、才能だってある。
平凡なあたしは蒼とは釣り合わないと思ったりもした。
だけど、そんなあたしを快く受け入れてくださった両親。
心がほんのりと温かくなった。
家の前に泊まる赤いBMW。
向かいの家から慎吾が出てきて、蒼の両親に一礼する。
「あら、慎ちゃんも帰るの?」
紅さんが残念そうに慎吾に言う。
「うん。勉強もしなきゃいけないし」
慎吾はそう言って助手席に乗り込んだ。