門の向こうに立っている蒼。
その蒼の見つめる先には……
お父さんが立っていたのだ。
「唯を連れ出して、どこに行くのか?」
威圧的に聞くお父さん。
再び気分が悪くなる。
そんなお父さんに、
「僕の家族に紹介します」
蒼は静かに伝えた。
「それと、遠藤の件、ありがとうございました」
「礼などいらん。
ただわたしは、君に興味があっただけだ。
君が唯に相応しい人間かどうか……」
「蒼、行こっ!!」
あたしは鞄でお父さんを突き飛ばし、停めてあった黒いワンボックスカーに乗り込む。
蒼は申し訳なさそうにお父さんに一礼し、運転席の扉を開けた。
あー、またまた失礼なことをして。
これ以上蒼をいじめたら、許さないんだから!!