「まぁまぁ、お父さん。
唯も来年には二十歳ですよ」
お母さんが救いの手を差し伸べてくれる。
「それにね、桜にも彼氏が出来たみたいだし」
「え!?」
それは初耳!
というより、チャンス!!
意外にもしっかりしている蒼のことだ。
桜の彼氏なんかよりは絶対お父さんに気に入られるはず!
少しだけホッとした。
お父さんが真っ青な顔で桜を見ている。
今にも地獄に落ちそうな形相だ。
そんなお父さんに向かい、頬を赤らめて話す桜。
「ま、妄想上の彼氏だけど」
次の言葉であたしが地獄に落ちた。
「Fの碧」
「はぁぁぁぁぁ!??」
新年早々、あたしは家が揺れるほどの大声を出していた。