「お姉ちゃん、彼氏出来たの?」
あたしの指輪を目ざとく見つける桜。
その瞬間、お父さんの顔がぴきっと引きつる。
「い……いーじゃん、もう大学生だし」
思わずそう言ったあたしを見るお父さん。
その目は座っていて、殺気に満ち溢れている。
やっぱりダメだ。
娘を溺愛するお父さんにとって、彼氏という存在ですら驚異だ。
蒼は色々誤解されている。
そして、同棲なんてことを言ったら……
「唯。
もちろんそういうことはしてないよな?」
そういうことって何?
それにあたし、もう大学生なんだから。
あたしは黙ってお父さんを睨んだ。