「尊敬するグラフィックデザイナーがいるらしくて。
正月早々会いに行くんだって。
キモいよね」
「えっ!?艶さんは仕事?
なんて素敵なリーダー……」
亜美の目は完全にハートだ。
それを見て、蒼はうっと息を呑む。
「も……もしかして、亜美ちゃんって好きなの、おっさん?」
そして、わざとらしくおっさんと言った後に口を押さえた。
その後、蒼と亜美は楽しそうに優弥さんの話をしていた。
センスが悪いとか、鬼畜だとか。
そんな会話を聞きながら、あたしはぼーっと明日のことを考えていた。
蒼があたしの両親に挨拶してくれる。
それはすごく嬉しい。
でも……
やっぱり不安だな。
だって、蒼は一般人ではない。
加えて、あたしと同棲している。
何事もなく終わればいいのだけど。
あたしの正月、どうなるのだろうか。