蒼とあたしの間に、気まずい沈黙が訪れた。

こんな惨めなあたしを、蒼はどんな顔で見ているのだろう。





蒼がゆっくり手を伸ばす。

そして、優しくあたしの髪に触れる。

そこがピリッとして、何だか温かくなる心。

思わず顔を上げると、蒼はすごくすごく優しい顔であたしを見下ろしていた。






「唯ちゃん……

ありがとう」




その言葉に涙が出そうになる。




「こんな俺と一緒にいてくれて、ありがとう」




それはあたしのセリフだよ。



蒼の周りには、あたしなんかよりもいい女性がたくさんいる。

それでも、あえてあたしを選んでくれる蒼。

だからあたしも胸を張らなきゃ。