「だけど碧、おバカらしいね」
「いいじゃん、ギャップ!
あの顔でボケてもらいたい」
どうやら蒼の馬鹿説はかなり浸透しているらしく。
あたしは乾いた笑い声を発していた。
あぁ、何だか始まりから嫌な予感満載だよ、この同窓会。
あたしの彼氏が碧だと言っても信じてくれないだろうし、碧の妄想ばかりがエスカレートして。
聞いてるほうが恥ずかしいよ。
「そういえばF、紅白出ないよね」
「オファー断ったんでしょ。
最近露出多かったから」
「有線大賞も辞退したらしいよ」
そんな話が飛び交うこのテーブルに居づらくて。
何だか碧のことを話されると恥ずかしくて。
あたしは席を立って廊下に出た。
何だか災難だったな。
大学のみんなは蒼のことをよく知っている。
だから、こんな悶々とした気持ちになることもないんだけど。
あぁ、あたし、どうしたいのかな?
あたしの彼氏が碧だって自慢したいの?
……いや、それは違うよ。
碧だから付き合っているわけじゃない。
蒼だから付き合っている。
蒼は、誰よりも普通で、誰よりも愛情溢れた自慢の彼氏だから。