「蒼、ずるい」




とうとう言ってしまった。

あたしを不思議そうに見つめて首をかしげる蒼。

そんな蒼すら色気がある。

そのオレンジの髪はほんのり湿り、顔は水滴で濡れて。

あぁ……

犯罪だよ、今日の蒼。





「なんで?」




そう言ってやたら熱い瞳で見てくる蒼。

確信犯だね。




「だって、あたしはこんなに緊張してるのに、蒼は……」




蒼は湯船の中であたしの手を握る。

あたしの身体が甘く震える。

そして、その手を蒼の胸にゆっくりと持っていく。

蒼の胸からは、とくとくと速い鼓動が伝わった。