ふと、先日の蒼を思い出す。
自分が足を引っ張っているから、だからFを辞めたいと嘆いていた。
だけど、あたしは何の心配もしていない。
だって……
蒼は碧だから。
あたしは、碧が足を引っ張っているなんて思ったことはない。
「あぁ、艶、本当にかっこいいよぉ」
あたしの隣ですでに妄想モードに入っている亜美。
「それに碧も」
その言葉にビクッとする。
「いやー、あの碧がバカだなんてポイント高いよね。
羨ましいよ、このっ!」
あたしを小突く亜美。
あたしの顔は真っ赤だ。
言われなくても分かっている。
碧も魅力的だけど、蒼はもっと魅力的。
感情表現豊かで、優しくて、温かくて……
あたし、蒼のことを考えただけでくらくらしてしまう。