都内のとあるホール。
そこにあたしはいた。
今日は待ちに待った、Fのクリスマスライブ。
ライブは二日間に渡って行われ、今日が最終日だ。
本当は昨日も参戦したかった。
だけど、どうしてもバイトが休めず、今日だけの参戦となった。
だが……
「昨日のライブ、超感動したよぉ」
目を潤ませる亜美。
あたしの高校時代からの友達で、あたしをFのファンにさせた張本人だ。
亜美は熱狂的な艶のファンで。
倍率の高いチケットを、見事当てたのだ。
「でも、昨日は二階席で超見えにくかった。
唯のおかげだよね。
今日はアリーナの最前ブロック!」
亜美は嬉しそうにそう言った。
そうなのだ。
あたしが大ファンだと知っている蒼は、よくあたしにチケットをプレゼントしてくれる。
関係者席もあったりするようだが、それよりも近い一般席を押さえてくれる。
嫌だ嫌だと言いながらも、そうやって晴れ舞台に呼んでくれる蒼に感謝している。