「なぁなぁ、慎吾?
ブリ男くんの続き、もうないの?」
彼が慎吾にそう聞き、
「あ、この前蒼が大学の窓から捨てたやつだ」
慎吾は困った顔をする。
「蒼、弁償してよね」
「何言ってんの!?
捨てたのは慎吾でしょ?」
蒼は変顔を慎吾に見せつける。
例外なく、その綺麗な顔が醜く歪んだ。
スタジオに部外者は一人。
今まではあたしだけだった。
でも、今日はなぜか彼がいる。
慎吾の大学の友達、陽介だ。
慎吾はあの日以来何だか楽しそうで。
学校の話を時々するようになった。
蒼が上手くやったんだ。
さすが蒼。
だけど……
結局、あたしは何も出来なかった。
蒼に全部任せて帰ってしまった。
何だか少し申し訳なかった。