「蒼、大丈夫だって!」
嫌がる蒼の手を引き、K大の門をくぐる。
「だってK大っていったら偏差値が……」
「おバカな慎吾もK大だよ?」
「唯ちゃんのバカぁ!!
慎吾、めちゃくちゃ頭良かったんだよ!!」
蒼は顔を歪めて泣き叫び、あたしは蒼を引きずる。
まるで嫌がる犬を散歩させているみたいだ。
そんなあたしたちを、K大生は白い目で見ていた。
「でも蒼?
慎吾のためだよ?」
そう言うと、
「そうだった」
急に真顔になる蒼。
そして、おもむろに眼鏡と帽子を鞄に詰め込む。
その瞬間、
「えっ、碧!?」
「きゃぁぁぁぁあ!!碧がいる!!」
校内に悲鳴が響き渡った。