数日後……。






あたしたちは慎吾の通うK大の校門前に立っていた。

立派なK大の門の脇には紅葉した木々が立っていて。

その下を、頭が良さそうな学生が歩いている。




「唯ちゃ〜ん。

やっぱり俺には敷居が高いよぉ」




泣き言を言う蒼。

そんな蒼は珍しく変装している。

大きな帽子に大きな黒縁メガネ。

そして、口元には秋色ストール。

それもそのはず。

このK大は都内でも賑わっている場所にあって。

家から移動する間に、人々に追いかけられる恐れがあったのだ。

あたしたちが住んでいる、東京の外れとはわけが違う。