「俺らは本当のあいつを知ってるからだ。
だから、俺らには心を開いている。
だけど、あいつを酙だと思っている奴には、距離を置いて接している」
そうなんだ。
あたし、こんなに慎吾と一緒にいるのに。
慎吾のこと何も知らなかったんだ。
今まで何も気づかなかった自分に罪悪感すら感じた。
「蒼や賢一がいてくれたら、あいつもそれなりに合わせるぜ?
だけど……
一対一の付き合いは苦手みてぇで。
学校でも一人浮いた存在になってるらしい」
一人俯く慎吾の様子が目に浮かぶ。
慎吾は平気なふりをしているが、きっとすごく辛い。
本当は、蒼みたいにみんなと騒ぎたいのに。
慎吾は、どんな思いで蒼を見ていたのだろう。
「俺がFなんて作ったから。
Fがあいつらを苦しめている」
胸が苦しいよ。
慎吾のことを考えるだけで、あたしまで泣きそうだよ。