深呼吸をして、再び前を向く。 すると、あたしの大好きな彼と視線が合った。 獲物を狙うように細められたその瞳から、目が離せない。 オレンジ系の髪。 その髪はワックスで荒っぽく散らしてある。 髪の隙間から覗く左耳には、金のピアスが輝く。 少し細めの眉、 筋の通った鼻、 誘うように開かれた唇。 「ふぁっ……」 再び声が漏れ、あたしは両手で顔を覆った。