だけど、




「蒼君?」




その聞き慣れない声に、ぴくりとした。




「蒼君、楽しそうだね」




振り向くと、蒼の前には黒髪の彼女が立っていて……



嫌な胸騒ぎがした。

だって、すごく可愛いその顔に、すごく優しげな微笑みを浮かべて蒼を見ているから。






「久美ちゃん……」




彼女の名前を呼ぶ蒼。

胸がズキンと痛んだ。