「唯ちゃん、ギターやってるの?」
バイト先で、坂田さんが驚いたように目を丸くした。
「あ……はい。
来月の学園祭で急遽披露することになって……」
だけど、無事に披露することは出来るのか。
まだまだ、あたしにとってギターの壁は高い。
「唯ちゃんならいいわね。
彼が教えてくれるから」
そう言う坂田さんに、
「彼も首を傾げるくらい、あたしは下手なんです」
意気消沈してあたしは答えた。
もちろん、蒼は面と向かってけなすようなことはしない。
あたしが本気すぎるほど本気でやっているから。
だけど、一向に上達しないあたしに、
「何でだろうねぇ……」
蒼もお手上げ状態だったのだ。
「プロに教わるにはレベルが低すぎるんです」
あたしは自虐的に答えていた。