「ゆーいちゃんッ!!

ため息つくと、幸せ逃げるよ?」




不意に近くで声がして、ビクッと飛び上がる。

すると、何と蒼、ハル、そしてもう一人の男の子が立っていて。

にこにこしてこっちを見ていた。




蒼の背中には、黒いケースに包まれた慎吾のベース。

それを見て、周りの女子がはしゃぐ。




「蒼君、今日はギター持ってるの?」



「一曲聞かせて?」




そんな女子に、




「ごめんね。

これ、今は極秘事項なんだ。

ミスターコンテスト来てくれたら分かるよ」




ちゃっかり宣伝までしている。




「行く!!

蒼君の歌が聴けるなら、絶対行く!」



「あっ!Fのライブも行くからね!!」




そんな女子たちに、




「ライブは来なくていいよ」




決まり文句を吐いていた。