蒼はあたしの手を握ったまま、あたしを見る。

その優しい瞳に全てを見透かされそう。

そして、その瞳から目が離せなくなる。





「だから、俺は唯ちゃんを離さない。

例え全てを犠牲にしても、大切な人を悲しませたりしない」





胸が痛いよ。

破裂してしまいそう。

蒼、そんな気持ちであたしといてくれたんだ。

だから……




「今は優弥も分かってくれている。

唯ちゃんがいるから、俺がいることを」




だから、Fのメンバーはあたしに好意的なんだ。

久美ちゃんのことがあったから。

久美ちゃんのことで、蒼が破滅しそうになったから。




「俺はもう、久美ちゃんに未練はないよ。

あるのはただ、罪悪感」