「悪いのは俺だよ。
有名になることだけ考えて。
あの時、どうかしてたよ」
蒼の声は苦しそう。
蒼を抱きしめてあげたい。
「だから結局、久美ちゃんとは何もなかった。
俺の裏切りで終わったよ。
でもね、久美ちゃんはそれで心に傷を負って……
入院した」
「え?」
「俺のせいだよ?」
蒼に何て声をかけたらいいんだろう。
安っぽい言葉は、何の慰めにもならない。
あぁ、蒼、辛かったね。
しんどかったね。
あたしのくだらない嫉妬なんかで片付けられない話だよね。
いかに自分が小さかったかを思い知る。
自分に苛立ちすら感じた。