蒼が向かった先。 それは、ひと気のない海岸だった。 辺りはすでに薄暗くなり、ぼんやりと街灯が光っていた。 ベンチに腰を下ろす蒼。 つられてあたしも隣に座る。 蒼が愛しくて、離れたくなくて。 今にも抱きついてすがってしまいそう。 だけど、蒼がこんな場所に連れてきたってことは、何か大切な話がある。 あたしは薄々勘付いていた。