暖かい日差しが差し込むようになり、春がやってきた。


この春から、晴れてあたしは中学生になった。


まだ慣れていない手つきで制服を着てみたときは、何とも言えない、うれしい気持ちになったものだ。

ごわごわの生地さえ、絹のように感じられた。



鏡に向かってにっこりと笑ってみた。


一か月ほど前の、うれしかった気持ちがよみがえる。



(何をしているんだか)




なんだかこうして懐かしんでるのが急に馬鹿らしくなり、そっと鏡から離れた。