「…あっ!!もう、ダメだって!!」

「な、ん、で!!」

新しく始めたバイトの休日、あいとの時間を大切にしていたけれど、

「キスマークくらい、いいじゃん!!」

いつもの我が儘で、あいを困らせてしまう。

「首は、ダメぇ。こ、こ!!」

「嫌ぁ。」

「ここ!!」

「い、や、だ!!胸元とか、誰も見ないから。」

甘えているのは勿論のことだが、あいを、俺の物だ。と主張と自慢をしたかった、僕の独占欲な想い。

「あいが見るから、いいでしょ?」

そんな言葉が可愛くて、どうしようもないけれど、

「首の方が付けやすいし、愛の印を皆に自慢させたいし。」

束縛とかさ、ダサいから我慢してるけど、こんな小さなことくらいは、たまには許してほしいんだ。

「あいだけでいいじゃん?」

笑って、ねっ?と見つめられても、こんな願いさえも、叶わないのかな?と、思う気持ちから、

「あいも見えないじゃん。」

譲れない想いに、変わってしまう。

「鏡で見るもーん。」

「嫌。なら、ずっと裸になってろ。」

好き。の次に、大好き。の次に、愛しくなって、その分、不安も大きくなって。

我が儘も、甘え方も、少し、度を超してしまう。

「ゆうくん。」

こんな想い、いつまで繰り返せばいいのだろう。そんなことを考え出すと、ついつい返事が、遅くなってしまう。

「怒ったの?」

「もう、いいよ。」

上手く笑ったつもりだけれど、

「…なら、薄くね。」

いつも、彼女に困らせる答えを出させてしまうのは、僕が悪い。と、知っているのに。

「いいの?」

どうしても、そんな悪く思う気持ちよりも、嬉しい気持ちが強いのは、それだけ好きなんだ。と、思いのままに言えたら、あいは笑ってくれるのかな?

「…いいよ。」

笑って。と、言う自分が、いつの間にか、彼女の本当の笑みを、奪っていっている気がしている。

とても、矛盾している。

「いいよ。嫌なら、いいって!!」

少し、日が暮れそうな時間に、あいと横になって、そんな会話を交していた。

「だから、薄くなら、いいって。」

小さな微笑みが、痛く、胸を突き刺す。

「好きだからなんだよ。」

伝えたいことの、1%さえ、伝えきれない言葉。

「分かってるよ。」

僕は無器用だから、ずっとね、その言葉を信じてるよ。

だから、僕は、こんな伝え方しか思い付かない。

「…あっ!!もう!!」