「ねぇ、新しい歌を作ったから、聴いて。」

僕の家で、あいに聞かせる歌。

「うん、聞く聞く~!!」

ジャラ~ン♪

「あ~あ~あ~~。よし、来てる来てる!!」

笑うあいが、好き。

「よし。聞いてください。タイトルは、未定だけど。」

ジャラ~ン♪

「ラ~ラララ~♪」

『彼女』の前で唄うのも、少し照れるけどね。

「ララ~ラァ…ゴフッ…。」

キーが高すぎて、声が裏返ってしまった。

「はい、そこを頑張って!!」

あいが笑ってくれたら、喜んだりしてくれたら、何でもいいんだ。

「あ~。まだダメだぁ。キー、下げようかなぁ。」

あいの前では、ダサいところを見せたくなくて、でも、一番甘えたくて。

「でも、そこ出たら、カッコいいよね?」

単純な奴が、ここにいるけど、

「よーし、頑張っちゃうぞ!!」

ほら、また、笑ってくれるから、好き。の気持ちがいっぱい増えてるよ。

「マジ、文化祭の時も失敗ばっかりだったしなぁ。」

秋にあった文化祭。

高校二年生の時は、最高に良かった。

しかし、高校三年生の時は、裏でトラブルがあり、失態を披露した大失敗に終わった。

「でも、上手かったよ?」

あのね、こんな子が、僕のお嫁さんになるのかな。なんて、恥ずかしくて言えないけれど。

「ありがと。でも、まだまだだなぁ。」

三年生の文化祭の時は、長年付き添った彼女がいたにも関わらず、見に来てくれたあいとベタベタして、帰りの『帰りの会』みたいなやつも抜け出して、あいの友達と共に、車で帰ったっけ。

「俺達、超仲良し。」

喧嘩も沢山するけどさ。

「ねっ!!」

文化祭の時も車の中で、友達の目を気にするあいの態度に苛立って、その後に喧嘩したけどさ。

あの時は、ゴメンね。

「これ聴いて~。超名曲だから。」

ストーリー的な歌詞を、僕は初めて書いてみた。

あいと、流れ星を見に行った日のことを描いた歌。

CDなんかも作って、全然下手クソだけれど、とても大事な歌をあいに唄った。

「どう?歌詞を、まだ変えるつもりだけど。」

「何で、この二人は付き合ってないの?」

「ん~。男の子が、片想いだから?」

「でも、最後は、ずっと、二人で歩いて行こう。みたいな感じじゃない?」

「それを、流れ星に願ったんじゃん!!」

無器用な二人の物語。

歌の主人公は、女の子を凄く思っている。

あの時の流れ星への願いが、先に叶った僕が唄う。

「でも、歌のリズムと声が、バラバラだね。」

こ…この野郎。