なにって言われても…
返答に困ってると一人の女が代わりに答え出した。
「南條君、この子おかしいの」
なに、その気持ち悪い声。
ブリッコしてキモい…。
「おかしいって…」
「いきなり消毒液出して、自分の頭にかけてるんだよ?」
「へっ…?」
「それで床は水浸し。だから掃除してるの」
こいつの嘘の言葉を聞きながら、あたしを見つめる転校生。
あなたもこの嘘を聞いて、あたしはおかしい、キモい、ウザい、だからイジめようって思うんでしょう?
顔が良い人は性格は悪いんだよ。
そんな両立してる人なんかいない。
その目は、あたしを嫌ってる目なんでしょう?
近付くなブス眼鏡って思ってるんでしょう?
結局みんな、見た目とか立場とかそんな事ばかり考えて、本当の事知ろうとしないんだ。
最低だよ、人間は…。
そう考えてたら、虚しくて悔しくて、涙が溢れていた。
「大丈夫なん?」
「えっ……?」
そう言って、手を差し伸ばしてくれたのは、他の誰でもない転校生だった。