「クキから誘ってくるなんて珍しくない!?」
「日焼け止め貸してー」
「海にクラゲ出たりして!」
前の方から賑やかな声がする。全部女。
「お前等のことは誘ってねえよ」
「何言ってんの、本当はみんなと遊びたかったくせにー」
久喜の言葉は彼女たちには届かないらしい。
窓の外を見ながら、ご愁傷様と心の中で思った。
「車酔い?」
隣でプリンス先輩が尋ねる。
「酔う寸前らへんです……」
大型車の中で振りまかれる香水と日焼け止めの匂いに今朝食べた物が逆流してきそうになっていた。
どうしてこうなったのか。
それは今朝久喜に会うところまで戻る。