直前になるとそれが単語帳に代わったりするから驚く。

「プリンス先輩はどこで?」

「教室か自習室で。家は気が散るんだよね」

蘭子と一緒だ、とそっちを見るとイヤホンを耳に入れて勉強モード。邪魔してはいけない。

私たちは昼の放送を終えて、早々に放送室を出た。自販機を見てから教室に戻ろうと階段を下る。

「先輩、どうして放送部に入ってくれたんですか?」

ずっと気になっていた疑問を背中にぶつけてみた。プリンス先輩が踊場で立ち止まる。

昨日から本格的に梅雨入り。傘は必須。

「のんちゃんが居たから?」

「わあ嬉しい」

「棒読み…!」

ケラケラと笑う先輩。そんなに面白かったかな、と先輩のツボを疑う。