視界の隅。食堂の入り口から、温が入ってくるのが見えた。
ああ、こんな奴放り出して温に声をかけにいきたい。
自販機のお茶を買って、食堂を出て行く。それを見届けた。
「おい、聞いてん」
声を最後まで聞かないうちに殴っていた。
センパイの後ろにいた女が小さく悲鳴を上げる。
なんか違うんだよな、まあ遊ぶくらいなら良いんだけど。
別に寄ってこないなら目にも入らない。
よろけたセンパイが俺の胸ぐらを再度掴む。
「失せろよ、クズが」
出た声が低かった。
こんな声、温には聞かせられない。
たゆたえども沈まず END.
20170403