身体を丸めて防御しようとすれば、久喜は腕で引き寄せてくる。

「温」

耳元で囁かれる。
手で塞いでいるのに声が聞こえた。

「こっち向いて」

首を振って拒否を示す。

「向いてよー俺の誕生日はー?」

「嫌なことはしない」

「携帯光ってっけど」

するり、と私のパーカーの中から携帯を出す。

着信ありを報せるランプ色。受け取って操作して見れば、全てお母さんから。

「うわ、なんか酔いが醒める」

久喜も躊躇わず着信履歴を見ているらしく、私は苦笑してしまった。

『友達の家に泊まってきます』とだけ打ったメッセージを送る。