「ホームルーム始まるよ♪」
愛梨は黒板近くを見つめる。担任の先生が何か話している。でも、愛梨の頭の中は竜也でいっぱいだった。そのうちホームルームが終わり、帰る時間に。
「じゃあね、愛梨。また明日!」
「うん♪」

 帰り道―。
「あーちゃん、竜也君のこと本気?」
涼乃が笑っているような泣いているようなあいまいな口調で訊いてきた。
「うん…。すず、竜也のこと好きなの?」
涼乃はまさか、と大声で笑った。
「そりゃ、竜也君イケメンだし、申し分ないよ。でも、好きとかじゃない。」