竜也の右手をそっと握る。竜也の視線に身体中が熱くなる。
「じゃあ…また教室でね。」
また、ということはまた会えるのだろうか。

 「あーちゃん。」
涼乃が愛梨を呼ぶ。愛梨は慌てて涼乃の方を向く。
「あーちゃん、好きになったでしょ。」
「え?何でわかる?」
「顔…真っ赤。」
初恋でしょ、涼乃に諭された。そうだよ。初恋だよ。
「教室行こうか。そこでも上村君に会えるよ。」
愛梨は涼乃の後に続いた。また教室でね。竜也の言葉を繰り返し思い出しながら。